お腹が重いせい!?︎しょっちゅう足がつってしまうポッチャリ妊婦の悩み

妊婦_足がつる アイキャッチ
体験談

妊娠してからちょっとした動作でも足がつりやすくなった、妊娠週数を重ねるたびにふくらはぎに筋肉が引きつるような痛みを感じることが増えた気がする…。
妊娠中の女性のなかには、このような症状に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「妊娠中に足がつる症状」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

妊娠週数が進むたびに足がつりやすくなる…この症状、なんとかして!

痛い足

佳菜さん(33歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

妊娠してからというもの、あれよあれよと思ううちに体重が増えてしまい、スリムだった体もすっかりポッチャリ体型に…。不幸中の幸いか、夫は「ぽちゃっとしたけど、それはそれで可愛いよ」なんて言ってくれるのですが、実はこのところ私の身には、見た目うんぬんにとどまらないことが起きていているんです。
というのも、妊娠後期に入ってから体重が爆増し、足への負担が半端でないせいか、やたらと足がつりやすくなってしまったんです。
そのせいで、体重が増えないように日課にしていた散歩をするのもおっくうになってしまったほど。なんせ、ただ歩いているだけなのにふくらはぎが急につってしまうし、寝ている最中に足の指がつって「イタタタタ!」っとなって目が覚めてしまうこともしょっちゅうなんです。
健診では「しっかり体重管理しましょうね」と言われる程度で、特に体調にも大きな問題はなく、いたって健康ではあるのですが、この足のつりやすさだけはどうにかならないものかと悩んでいます。
あと数ヶ月、生まれてくる赤ちゃんのためにもリラックスして楽しく毎日を送りたいのですが、何か良い改善方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
妊娠中の女性には足がつりやすくなる方も多く、半数ほどの妊婦さんがこうした症状に悩まされているといわれています。
今回は、妊娠中に足がつる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

妊娠中の症状は子宮の増大による負担や筋肉疲労が原因

お腹が目立ってきた妊婦

自分の意思と関係なく筋肉が収縮し、けいれんして硬直することを「つる」と言います。
特に週数が進み、妊娠後期に近づくほどに足がつりやすくなるのは、お腹が大きくなるに従い体の重心が傾いて足に負担がかかることや、筋肉疲労が増すことが関係していると考えられます。
さらに大きくなった子宮により足の静脈が圧迫されて血流が悪化すること、赤ちゃんに栄養を送るために血液が薄まること、カルシウムやビタミンD が欠乏することも症状が起こる要因になります。
もし頻繁に症状が起きるのであれば、糖尿病や末梢神経の障害などの疾患がある場合もあるため、必ず医師に相談するようにしましょう。

東洋医学では、こうした症状は「気(生命エネルギー)」と「血(血液)」が一時的に不足した状況で生じるとされ、体に不足した栄養を補うことが大切だと考えられています。

次の章ではこのような「妊娠中に足がつる」症状を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

妊娠中に足がつる症状の予防&対処法3選

1.適切な体重管理で足への負担を減らしましょう

体重計に乗る

大きくなる子宮からの圧迫により足がつりやすくなっている場合は、体重増加による足への負担を減らすことを心がけましょう。
ビタミンやカルシウムが豊富で栄養バランスの良い食事を摂るように心がけつつ、適切な体重管理を行い、急激な体重増加を防ぐことが大切です。妊娠中のエクササイズとしては、軽めのウォーキングやスイミングなど、足の筋肉の血流を良くする効果もあるものがオススメです。
ただし、過度な運動は筋肉の疲労につながり、さらに足がつりやすくなってしまいかねませんので、疲労感の残らない程度にとどめるようにしましょう。

2.体の冷えや水分不足に注意!

バスタイム

水分不足やミネラル不足、冷えにより血液や水分の循環が悪くなると、筋肉の収縮をつかさどるセンサーの働きが低下すると考えられています。
日頃から体を冷やさないように心がけ、ゆったりと湯船に浸かって体を温めましょう。寝る前に足をマッサージしたり、ふくらはぎを伸ばすようなストレッチをするのもオススメです。
また、運動や入浴や睡眠時などは発汗のため体内の水分が失われやすいため、カリウムやマグネシウム、ナトリウムなどの電解質を含むスポーツドリンクや経口補水液でしっかりと水分補給をするのも症状の予防に効果的です。

3.足の筋肉疲労を溜めないように心がけましょう

足の筋肉に余分な負担をかけないためには、足にあった靴を履くことが大切です。妊娠中の転倒防止のためにも、ヒールが高過ぎず、滑りにくいフィット感のある靴を選ぶと良いでしょう。
運動したりたくさん歩いたりした日は、疲労によって筋肉がけいれんしやすくなる場合があります。健康管理のためにも、夜更かしや不摂生をせず、十分に睡眠をとって翌日に疲れを残さないようにしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

妊娠中に足がつる症状を改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)です。妊娠中に足がつりやすくなった方、筋肉のけいれんを起こしやすい方に、筋肉をほぐして痛みをやわらげる働きがあります。

赤ちゃんのためにも、疲労をためず健康的な毎日を!

クローバーをのせた妊婦のお腹

今回は、妊娠中に足がつる症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状が起こりにくくするためには、適切な体重管理で足への負担を減らすことはもちろん、水分不足や冷えに注意し、たっぷり睡眠をとって健康的な毎日を送ることが大切です。
もし、妊娠等の原因がないのに寝ているときなどの安静時に頻繁に足の指がつる場合は、大きな病気の可能性もあるため、一度病院を受診してみましょう。

こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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