立効散(りっこうさん)は歯の痛みに

立効散は歯の痛みによく使われる漢方薬です。
処方のポイント
歯痛に対する止痛作用をもつ細辛、止痛効果の防風、歯茎の腫れに効能がある升麻、解毒解熱作用の竜胆、消化墨保護の甘草で構成される漢方薬。
歯痛と付随する頭痛、抜歯後の痛み、歯茎の腫れ等、口中トラブルに適応します。
口内炎や舌炎にも応用され、内服以外にうがいでも用いられます。
辛味があります。
立効散が適応となる病名・病態
保険適応病名・病態
効能または効果
抜歯後の疼痛、歯痛。
漢方的適応病態
歯痛、頭痛(細辛、升麻、防風は主として顔面部の疼痛に有効とされ、発汗、解表にも有効)。
立効散の組成や効能について
組成
細辛2 升麻2 防風2 甘草 1.5 竜胆草1
効能
清熱・散風・止痛
主治
風熱歯痛
◎清熱・散風・止痛:体内で亢進した熱邪と外から感受した風が原因する歯痛に対し、清熱、散風によって痛みを止めます。
解説
立効散は歯痛の治療に使用される処方です。
特に抜歯後の歯痛、効果があります。
適応症状
◇歯痛
胃経は上歯の歯ぐきを巡り、大腸経は下の歯ぐきを走行しています。
体内の熱特に胃と大腸の熱邪が盛んな場合、熱邪は経絡に沿って上行し、歯ぐきの気血の流通を塞ぐため疼痛が生じるのです。
風邪の侵入によって、急に歯が痛くなることもあります。
◇舌紅・苔黄
紅舌と黄苔はともに熱の存在を示します。黄苔は胃熱が盛んな場合に現れます。
◇脈浮数
浮脈は風邪の侵入、数脈は熱邪の存在を示します。
細辛、升麻、防風はともに発散性をもち、解表薬に属します。
細辛は芳香性が強く、発散去風・止痛の作用をもち、歯痛、頭痛などの痛証によく配合されます。
升麻は胃や大腸に帰経し、胃火を清する作用があり歯痛の専門薬。
防風は優れた去風作用によって風邪の侵入を除去するでしょう。
急性の歯痛には、発散去風薬を配合する必要があります。
竜胆草は清熱利湿薬で、升麻の清熱作用を補佐するほかに口臭、苔媒などの湿熱内蘊の症状を治療します。
生甘草には清熱解毒の作用と胃気を保護する作用です。
臨床応用
◇歯痛
清熱、散風、止痛の作用があるので、急性の歯痛に適し、抜歯後の疼痛にも用いられます。
補益薬は加味されていないので、腎虚に属する歯槽膿漏などの慢性歯痛には効果がありません。
◇鼻炎
通鼻竅の細辛、肝胆鬱熱を清する竜胆草が入っているので、鼻塞、鼻水などの鼻症状に用います。
止痛作用があるので、鼻の疼痛に対しても一時的に使用することができます。
◎鼻水が濃く、量が多いとき+「辛夷清肺湯」(清肺開竅)