腹痛のとき何科を受診すべき? 医師への伝え方や自分でできる対処法を解説 

お悩み

急な腹痛や、長引く腹痛の症状があると不安になりますよね。

「腹痛の症状が出るとなかなか治らないけど、そのままにしておいて大丈夫?」

「腹痛を感じたときに病院や診療所は何科に行けばいい?」

といった疑問を頭に浮かべたことのある人も多いのではないでしょうか。

ここでは、痛みを感じる部位の違いや、原因が分かっているか分かっていないかの違いに分け、腹痛を自覚した際にどこの診療科に行くべきか、どう対処したらよいか、について詳しく解説していきます。

腹痛のとき何科を受診すべき?

腹痛を呈する疾患は多種多様であり、主に一般内科、消化器内科、消化器外科、循環器内科、泌尿器科、産婦人科、精神科、総合診療科などさまざまな診療科が関与しています。

しかし、一般の人がおなかの痛みを感じたときに腹痛の原因を明確に特定するのは困難でしょう。

まずはかかりつけ医がいらっしゃればそちらに相談する、あるいは総合内科や総合診療科、救急科を受診するとよいでしょう。

上腹部の腹痛の場合

腹部に強い痛みを自覚する背景には胃や大腸、膵臓や胆のうなどに主たる原因が認められることが往々にして存在します。

特に、おなかの上の辺りである上腹部に腹痛を起こす疾患としては、急性胃炎、胃潰瘍、急性膵炎、胆石発作、胆管炎、胆のう炎などの可能性が考えられます。

したがって、このような場合には消化器内科などを受診して医師による問診などの診察を受けて、腹部超音波検査や画像検査、あるいは上部消化管内視鏡検査などの精密検査を受けることが有用です。

下腹部の腹痛の場合

次に、おなかの下の周辺である下腹部に腹痛を引き起こす場合、小腸や大腸の異常が多く見受けられます。よく考えられる疾患としては胃腸炎、過敏性腸症候群、虫垂炎、憩室炎などが挙げられます。

下腹部痛に関しては、腹痛症状以外にも発熱や便秘・下痢を併存することが多く、上腹部痛と同様に消化器内科や外科を受診して医師による問診や触診などの診察を受けて、腹部超音波検査や画像検査、場合により大腸内視鏡検査を施行することが重要となります。

原因がよく分からないときは内科や救急科を

また、消化器領域の原因要素をもとに引き起こされる腹痛疾患以外にも、ストレスに随伴した腹痛発作もよく遭遇し、これらのケースでは日々の過大なストレスによって自律神経機能が障害を受けて乱れることによって腸管が神経過敏となって腹痛症状を起こします。

とにかく、いずれにしても腹痛を呈する原因がよく分からない場合には、まずは内科や救急科を受診しましょう。

これらの診療科で診察した後、さまざまな精密検査の結果によって正確な診断を付けることで治療の方向性が判明します。必要に応じて個々のケースにおいて適切な診療科を紹介してくれますので安心してくださいね。

医療機関を受診するかどうかの判断

おなかの痛みを感じたらしばらく様子をみましょう。自然に軽快していく一時的なものであれば必ずしも病院やクリニックを受診する必要性は高くありません。しかし、腹痛を呈する原因には手術が必要になる重篤な病気も隠れていることが時にあることを忘れてはいけません。

例えば、おなかの痛みがこれまで経験したことがないぐらいひどい場合、あるいは痛みが理由で動けずに冷や汗をかいている方や、疼痛症状が原因で食事がとれずに体重減少が著しく認められる人では早期的に医療機関を受診することが勧められます。

救急車を呼ぶかどうかの判断

さらに、突然強い痛みが起きて段々と症状が悪化していく場合、話しかけても反応せずに意識状態が悪くなっているとき、または血を吐く、血便を認めている方のケースでは迅速な治療が必要であると考えられますのですぐに救急車を呼びましょう。

医師に症状を伝えるときのポイントは?

実際に自分がおなかの痛みを感じた際に医療機関で医師や看護師さんにわかりやすい言葉で症状を正しく伝えるために重要な事項をお伝えしておきます。

一つ目としては、痛みが始まった時期をなるべく正確に伝えるように意識して、果たしておなかの痛み自体が急激に悪化したのか、あるいは徐々に痛みが強くなったのか、そしてどのような状態のとき(例えば食事前か食事後か)に痛みを感じるかを詳細に訴えましょう。

また、食事内容が原因でおなかの痛みが起こっていることも考えられますので、普段食べないものを食べたとき、あるいは外食して生ものを摂取した場合などはできる限り担当医に伝えるように心がけましょう。

また、しんどくてもおなかのどのあたりがもっとも痛む部位なのかを正確に示すことが非常に重要です。

一番しんどい腹痛部位がちょうどへそ周辺なのか、右下腹部あたりなのか、そしてその場所がズキズキ痛むのか、チクチクするだけなのかなど、なるべく痛みを簡易的な言葉で表して医師などへ伝えると、より正確な診断をするうえで参考になります。

さらに、発熱や頭痛など腹痛以外の症状を認めている場合、あるいは下痢や血便など便通異常を引き起こしている方においては、それらの事実も正直に担当医などに伝えましょう。

自分でできる腹痛の対処法

ここからは、自分でできる腹痛の対処法について見ていきましょう。

まずは安静を保つ

急におなかの痛みを感じた際には、まずは安静を保つようにしてください。

例えば、以前に胃潰瘍や十二指腸潰瘍に罹患した経験があり、自分でも以前と同様の症状であると感じ取ることができれば、安静後に水分などを少量摂取することで症状が緩和されることが考えられます。

また、しばらく休むと症状が改善していき段々と日常生活が送れるレベルまで回復するようなおなかの痛みということであれば、できる限りストレスを避けて安静に体を休めながら市販の胃薬などを服用して一定期間様子観察していれば恐らく大丈夫でしょう。

腹痛の改善に役立つ食事のポイント

頻繁におなかが痛むときには、食生活の内容を見直す必要があります。

腹痛が続いている場合には、刺激物を摂取することを避ける、暴飲暴食をしないように努めて胃腸臓器に無理な活動をさせないことが重要です。

また、おなかを痛める原因のひとつとして便秘が挙げられます。普段から便秘傾向で困っている方は、日常の食生活において食物繊維を豊富に含む食材を摂取するように心がけ、便秘の予防を心がけましょう。

腹痛の改善に役立つ生活習慣のポイント

日常生活で過大な負担となるストレスを有しており、自律神経が乱れてその調節に苦しんでおなかを痛める方は少なからず存在します。

そのようなケースでは、過剰な精神的ストレスを引き起こしている事項を見抜き、普段からストレスが極力かからないように意識して日々の生活を送るように心がけましょう。場合によってはメンタルクリニックなどもうまく活用しましょう。

腹痛の改善に役立つ漢方薬

腹痛を呈する病気の中でも特に日常的なストレスが原因とされている過敏性腸症候群に対し、漢方薬の領域においては建中湯(ケンチュウトウ)の仲間が頻繁に使用されます。

この建中湯においては桂枝湯(ケイシトウ)と呼ばれる風邪薬に芍薬成分を添加した内容が基本になっています。桂枝加芍薬湯(ケイカシャクヤクトウ)は、腹部膨満やしぶり腹、下痢や便秘を繰り返す便通異常兆候など過敏性腸症候群の際に自覚される症状を改善させる点でも適しています。

また、腹痛の中でも月経痛などに応用できる漢方薬があります。当帰建中湯(トウキケンチュウトウ)は当帰成分に便通異常を軽快させる作用があり、月経困難症などの婦人科疾患にも有用であることが知られており女性の下腹部痛に対して有効的と考えられます。

さらに、体力中等度以下の方で特にもともと胃腸が弱い、あるいは食欲が湧きにくい場合における胃痛や消化不良症状などに対しては、六君子湯(リックンシトウ)という漢方薬をお勧めします。

同様に、体力中等度の人で不安や過労などのストレスによるみぞおちのつかえ、悪心、嘔吐を認めている場合における神経性胃炎や胃腸炎症状などに対しては、半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)の処方が推奨されています。

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いかがでしたでしょうか。ここでは腹痛を取り上げ、腹痛のとき何科を受診したらよいのかや、医療機関を受診するかどうか、救急車を呼ぶかどうかの判断方法、自分でできる対処法について解説してきました。今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

甲斐沼孟

TOTO関西支社健康管理室  室長(産業医) 甲斐沼孟 医師 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センター、大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センター、大阪大学医学部付属病院、国家公務員共済組合連合会大手前病院を経て、令和5年4月より現職。 消化器外科や心臓血管外科領域、地域における救急診療に関する幅広い修練経験を持ち、学会発表や論文執筆など学術活動にも積極的に取り組む。 日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医・指導医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、大阪府知事認定難病指定医、大阪府医師会指定学校医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本職業・災害医学会認定労災補償指導医ほか。 「さまざまな病気や健康課題に関する悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を活かして貢献できれば幸いです」

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