不整脈はどんな病気?種類と症状の違いを解説

「不整脈」とは心臓の脈拍が正常とは異なるタイミングで起きるようになった状態を指します。
不整脈には、脈が速くなる頻脈性不整脈、脈が遅くなる徐脈性不整脈、そして予期しないタイミングで脈が生じる期外収縮などがあります。
ここでは不整脈はどんな病気なのか、その具体的な種類や症状などに関して詳しく解説します。
不整脈の種類

心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれており、右心房にある洞結節が電気信号を発生させ、この電気信号は、右心房から左心房、両心室へと順次伝わることになります。
心臓は通常であれば心筋細胞における電気信号を規則正しく伝達して正常に動いています。
この電気信号の流れが乱れる、あるいは遅くなったり、速くなったりしている状態が「不整脈」です。
症状の程度は不整脈の種類によって異なり、少し脈が飛ぶ程度のものがある一方で、突然死を起こす非常に怖い不整脈もあります。
例えば、スポーツ選手は通常よりも心拍数が遅くなることがありますが、これは病的なものではありません。
一方で、危険な不整脈になると、脳への血流が不十分となり、失神やふらつきを起こすことがありますし、不整脈により心臓が血液を全身に十分に供給できなくなれば息切れや呼吸困難などの心不全症状を呈することもあります。
不整脈の中でも頻度的にもっとも多いのは、予定されていないタイミングで脈が生じる期外収縮と呼ばれる不整脈です。例えば3回に1つというように、時々脈が飛ぶことを自覚する場合には期外収縮の可能性を検討する必要があります。このタイプは通常では危険性のない不整脈であり、発生しても自覚症状が現れないことがあります。
不整脈は脈が速くなる頻脈性不整脈と脈が遅くなる徐脈性不整脈に分類されてます。一般的には脈拍数が1分間あたりに50以下の場合を徐脈性不整脈、100以上の場合には頻脈性不整脈と呼びます。頻脈性不整脈と徐脈性不整脈はそれぞれさらに細かく分けられています。
ここからは、いくつかの不整脈を取り上げ、さらに詳しく見ていきましょう。
心房細動とは

心房細動という不整脈は、本来は一定リズムの電気活動で動いている心房の部屋が、無秩序に痙攣している状態を呈するため、正常の規則的な脈ではなく、不規則な脈のリズムになってしまいます。心房細動には動悸やめまいなどの症状が認められます。
近年では高齢者を中心に知らないうちに心房細動を罹患している方が増えており、この不整脈を患うと心臓の中に血液の塊ができやすくなります。
心房細動では心房内に血栓を形成し、その心房内の血栓は血流に乗って全身へ飛ばされる恐れがあるため、脳梗塞の発症リスクも上昇すると考えられています。
心臓の中にできた血液の塊が遊離して脳の動脈の方に流れていき、脳の血管が詰まって閉塞してしまうことが原因で起こる脳梗塞のことを心原性脳塞栓症と呼んでいます。
動悸などの症状が出現した際には、心房細動などの不整脈がないかどうか医療機関で詳しく調べてもらった方がよいでしょう。
発作性上室頻拍とは
発作性上室性頻拍は、発作的に脈が速くなる頻脈性不整脈のひとつです。
基本的には、心臓は洞結節と呼ばれる場所から規則正しく心臓のそれぞれの部屋を動かすように電気信号が発生し、心臓全体に伝わっています。しかし、余分な電気経路が形成されると、そこを伝って心臓が早く動いて脈が早くなるのです。
発作性上室性頻拍は心臓に余分な電気経路が生じる、あるいは生まれつき必要以上の電動経路が存在することで引き起こされます。頻拍発作が起こる機序の違いから房室結節回帰性頻拍、WPW症候群、心房頻拍という3つの種類に大別されています。
この不整脈では、通常よりも脈が速くなるために動悸症状を感じるのみならず、頻脈に陥るために心臓から全身へと血液を十分に送り出せずにふらつきやめまい症状を呈し、ひどい場合には失神することもあることが知られています。
洞機能不全症候群とは

洞機能不全症候群は脈が遅くなる徐脈性不整脈の一種で、心臓の脈の速さを支配している場所である洞結節部位の電動機能が悪くなるために引き起こされる脈拍異常を指しています。
主たる症状としてはめまいや失神を起こすことが知られており、また無症状の方でも偶然に健康診断などの機会に脈が遅いことを指摘されて、本疾患と診断されることがあります。
この不整脈では、脈が遅くなるタイプによって3つの群に分類されます。
まず、I群の洞性徐脈は、通常1分間あたりの脈拍数が50回以下の状態が慢性的に続く状態をさします。
次に、II群の洞停止では、正常な脈が時に完全に停止してしまう状態になります。
そして、Ⅲ群の徐脈頻脈症候群は脈拍リズムが急激に速くなったり遅くなったりする、あるいは正常化するときに数秒停止する状態が認められます。
房室ブロックとは
房室ブロックは心臓の電気活動が阻害されている徐脈性不整脈のひとつで、心房と心室間の電気信号を介した情報伝達が正常に機能していない状態を指します。
房室ブロックは重症度に応じてI度からIII度まで分類され、全く症状を認めることなく治療介入の必要がないタイプもあれば、めまいや失神を呈して治療を要する種類もあります。
例えば、I度房室ブロックでは、心房から心室への電気伝導が健常時よりも遅くなりますが、実際の心室の心拍数は減少しません。II度以上になると心拍数が遅くなって脈が飛ぶことがあり、息切れやめまいなどの症状を自覚することもあります。
房室ブロックは重症度が上がるにつれて心拍が遅くなり、最悪の場合には心停止に繋がってしまうことも懸念されます。
まとめ

不整脈は、脈拍リズムが速くなる、ゆっくりになる、あるいは不規則になる状態を指します。
脈拍数が1分間に40以下になると徐脈に伴って息切れ、めまいなどの症状が出やすくなりますし、反対に脈拍が1分間あたり120以上になれば病的な頻脈による動悸や息切れ、胸痛などの症状が認められます。
治療の必要がない不整脈もありますが、意識を失う、脈が遅くなって息切れがする、突然動悸がする、といった場合は治療が必要な不整脈の症状である可能性があることを知っておきましょう。