受診の目安は?不整脈のセルフチェックの方法と病院での検査

日常生活において、ドキドキする、脈が飛ぶ、息切れがしやすい、胸が苦しい、気を失うなどの症状がある場合には、不整脈が原因である可能性が考えられます。
ほとんどの不整脈は無害で、心配の必要はないことが多いのですが、中には命にかかわるような怖いタイプの不整脈もあります。
自分で脈拍をチェックして病院に行くべきかどうかを判断できれば、早期に適切な診断と治療を受けることができるでしょう。
ここでは不整脈のセルフチェックの方法と、病院で行われている検査方法について詳しく解説していきます。
目次
不整脈のセルフチェックの方法

心臓には刺激伝導系という電気信号の通り道があり、その回路を通じて脈拍が一定のリズムで伝わることにより1分間に約60~100回のペースで規則正しく心臓が拍動しています。
ところが、異常な電気刺激が発生することで脈が飛ぶ、あるいは急激に脈が速くなる、また心臓の刺激伝導系がスムーズに伝導しないことで脈が遅くなると、心臓が拍動するペースやリズムに不規則な乱れが生じ、不整脈の症状につながります。
次の紹介するチェック項目を確認することで、不整脈が疑われる症状かどうかを自分で判断することができるでしょう。
自覚症状や生活習慣をチェック
最初に、不整脈につながる自覚症状や生活習慣を確認しておきましょう。
・安静時に胸がドキドキして動悸することがある
・脈が乱れたような感じがする
・階段を昇る際や速足で歩くと息切れする
・常に倦怠感があり疲れやすい
・目の前が真っ暗になり失神した経験がある
・頻繁にめまいを自覚する
・アルコールやコーヒーをよく飲む
・過剰なストレスや過労が溜まっている
・熟眠できないなどの睡眠障害を抱えている
この中に当てはまるものはありますか?
これらはいずれも不整脈を疑う参考情報になります。
脈を自己チェックする

脈を自己チェックすることは不整脈の発見に役立ちます。
手のひらをまず上に向けてひとさし指、中指、薬指の3つの指を使用して手首の親指側を触って10~15秒間ほどかけて自分の脈をとるようにします。
脈拍のリズムが不規則であるなど少しおかしいと感じたら、さらに10秒間前後脈をとり続けます。
一定のリズムを刻んでいればひとまず正常の範囲と判断できますが、観察を続けて脈が飛ぶように感じたときには専門医やかかりつけ担当医に相談しましょう。
不整脈を疑う症状が現れたときに自分の脈を実際にとってみることで、不整脈を自覚しているタイミングでの脈拍状態が冷静に判断できます。
また定期的に脈をとっていると無症状のときでも稀に不整脈を認めることがあり正確な診断に役立ちます。
病院を受診するかどうかの目安は?
不整脈には放置しても心配のないもの、積極的な治療を要するもの、あるいは緊急を要する命に直結するものまでさまざまな場合があります。
一般的に病院を受診する目安として、強い動悸やめまいを覚える、安静時に胸痛や息切れを自覚する、立ちくらみや意識障害などの症状や所見を認める、などを挙げることができます。
不整脈は早期発見することで病状の悪化を防ぐことができますし、最悪の場合として考えられる突然死を未然に予防することにも繋がります。特に家族や親戚で心臓病を患っている方がいる場合や突然死した人が存在する際には病院を受診するとよいでしょう。
日常生活で急に脈の拍動が速くなり動悸やめまい症状が現れることがあれば、不整脈疾患が原因である可能性がありますので、放置せずに心臓専門病院や循環器内科医を受診するようにしましょう。
不整脈の検査と診断

不整脈を適切に診断するために、いくつかの検査を行います。
心電図
心電図は短時間で不整脈の有無を検査できる広く普及している診断ツールとして良く知られています。
一般的に、人間ドックや健康診断で実施される心電図検査は安静時に計測する12誘導心電図検査と呼ばれるものです。手首と足首に専用の器具を付けて、前胸部の6か所に電気信号を拾うための吸盤を付けて検査を行います。
その他の心電図検査としては24時間心電図(ホルター心電図)が挙げられます。
医療機関などで一時的に安静時心電図検査を実践しても不整脈がすべて捉えられるとは限らないため、患者さんの日常生活のリズムに合わせて丸一日かけて心電図を記録し、詳細に不整脈の状態を評価できる検査方法がホルター心電図です。
また、運動負荷心電図も不整脈診断には有用な検査として知られています。
安静時には認められない不整脈も運動時や労作した際に悪化する場合があります。運動負荷心電図はそうしたタイプの不整脈を検査室内で再現し、ベルト上を走る、自転車を漕ぐ、階段を昇り降りするなどの運動負荷をかけた状態で心電図を記録する検査ツールです。
心臓超音波検査(心エコー検査)
不整脈発症に関与している心臓病の有無を判定するために心臓超音波検査(心エコー検査)を行います。
心臓壁の収縮力、大動脈弁や僧帽弁の動き、心筋の厚さ、心臓の心房、心室の拡大程度などを評価できるので不整脈診断に有用です。
心臓電気生理学的検査(略称:EPS)
不整脈をより正確に診断するために、カテーテルを心臓内に入れて施行する心臓電気生理学的検査(略称:EPS)が有効です。
本検査では、電極カテーテルと呼ばれる細い管を足の付け根にある大腿静脈や肩周囲に走行している鎖骨下静脈という血管から挿入します。そして、カテーテルの先端電極を右心房などの心臓壁に接触させ、心臓内の電気活動の情報を詳しく取得します。
実際の検査中には、カテーテルを介して心臓に電気刺激を意図的に与えて不整脈を起こし、個々の不整脈の原因や発生元となっている電気回路、有効性を持つ薬剤の判断等を同時に行うことで、各々の症例ごとに最適な治療方針を立案することも可能となります。
他にも、血液検査や胸部レントゲン検査(エックス線検査)、胸部CT画像などの検査も不整脈診断に役立つことがあります。
まとめ

不整脈が疑われる場合は、まずは自覚される症状などからセルフチェックを行い、自分の心拍が正常なリズムを刻んでいるかどうかを確認してみましょう。
定期的な健康診断や人間ドックなどで心電図などの各種検査を受けることも不整脈の発見につながります。
異常に気づいた際は、自己判断して放置するのではなく、心配いらない不整脈なのか、あるいは病的で積極的な治療を必要とするタイプなのかを循環器内科をはじめとする専門医に診断してもらうとよいでしょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。