脂肪肝を改善するダイエット方法…非アルコール性脂肪肝に注意

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脂肪肝は、肝臓内に中性脂肪をはじめとした脂質成分などが異常に蓄積した状態です。栄養バランスの偏った食生活や慢性的な運動不足などが原因で引き起こされます。

ここでは脂肪肝の特徴や改善方法について解説します。

脂肪肝とは

最初に脂肪肝の特徴について確認しておきましょう。

アルコール性脂肪肝

脂肪肝は、飲酒をしすぎる場合に発症するアルコール性、あるいはアルコールを多量に摂取していないけれども引き起こされる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に分類されます。

アルコール性の脂肪肝は、日々の過剰な飲酒習慣が継続されることによって発症します。毎日約3合以上の日本酒、あるいはビール大ビン3本以上、ウイスキ一ならダブルで4杯以上を飲む場合に脂肪肝が多く認められるといわれています。

身体の中に入ったアルコール成分のほとんどは肝臓で解毒されて、体外へ排出されますが、この生理的な解毒過程において肝臓の機能が低下することによって、肝臓中に脂肪が増えて貯留していくと考えられています。

非アルコール性脂肪肝

近年の肥満人口の増加に伴って、過剰な栄養摂取による脂肪蓄積を原因とする非アルコール性脂肪肝の患者数が世界的に増加しているといわれています。

アルコールではなく過度の食事摂取などが原因で脂肪肝から肝炎や肝硬変に進展するタイプを「NASH(非アルコール性脂肪肝の略称)」と呼称しています。

日本における非アルコール性由来の脂肪肝は、2000年頃には有病率が約15%程度でしたが、年々罹患率が増加してきており、2012年には男性約35%、女性約18%と増加傾向が認められます。

非アルコール性の脂肪肝ではその背景に肥満やメタボリックシンドロームなどが潜在していることが指摘されています。

非アルコール性脂肪性肝疾患は、さらに細かく分けると病状があまり進行しない種類の非アルコール性脂肪肝(NAFL)と、その逆に肝炎へ進展しやすいことが問題視されている非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分類されます。

肝臓レベルでの炎症や線維化を主徴とする過度のアルコール摂取歴が関与しない脂肪性肝炎 (NASH)については肝硬変や肝細胞癌に進展するタイプであると考えられています。

脂肪肝のリスク

肝臓は人間の体の中で最も大きな主要臓器であることが知られており、エネルギー代謝や解毒作用、胆汁の生成などを中心とした重要な働きを担っています。

肝臓に中性脂肪が貯留した状態を「脂肪肝」といい、この疾患はメタボリック症候群に合併しやすいことが指摘されており、放置すると肝炎などを引き起こして重症化することが知られています。

摂取したエネルギーが消費するエネルギーを上回ると余分なエネルギーが中性脂肪につくり替えられて肝臓にも貯蔵されることから、肝細胞の30%以上で中性脂肪が沈着していると「脂肪肝」と診断されます。

脂肪肝は無症状のままで経過することが多く、健康診断などで初めて指摘される方も少なくありませんが、本疾患を放置してしまうと約1~2割の頻度で肝炎、肝硬変、肝細胞がんへと病状が悪化するケースが散見されます。

脂肪肝の症状

脂肪肝の初期にはほとんど自覚症状はなく、顕著な症状が現れにくい状態ですが、脂肪肝が悪化して、やがて肝炎を起こして肝硬変に進行して初めて食欲不振や倦怠感、右上腹部痛などの症状が出現します。

これらの病気が進行すると、手足の浮腫所見や体が黄色く染まる黄疸、あるいは腹水貯留などの症状が出現します。また肝臓への血流が停滞して門脈圧が増えすぎると食道静脈瘤を形成し、命に係わる場合も考えられます。

脂肪肝を改善するダイエット方法

脂肪肝を改善する方法を見てみましょう。

1日3食バランスよく食べる

脂肪肝は生活習慣と関連して発症することが多いことが判明しており、肝硬変などに進行していない状態であれば普段の生活習慣を見直して改善することで肝臓の機能が回復することも十分に期待できます。

肥満体形の人においては、内臓全体の脂肪量および肝臓における脂肪量は最も密接に関連しているといわれています。

また、メタボリック症候群という2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの病気が脂肪肝の病状進展に関与していることから、肥満や内臓脂肪が原因となって脂肪肝に罹患している場合には、1日3食規則正しくバランスの優れた食事メニューを摂取することが重要です。

糖質の摂取を減らす

脂肪肝対策について、食事面の観点からは基本的に1日あたりの食事量は労働量に照らし合わせておおむね25~35kcal×標準体重と設定することが推奨されています。

摂取カロリーが制限されて炭水化物か脂質を相対的に減らして体重の減量が達成できれば、脂肪肝は自然に改善するものと期待されています。

具体的な食事メニューとしては、脂肪や糖分を抑えながら、大豆製品や青魚、赤身肉などの良質なたんぱく質を豊富に摂取するのがおすすめです。

お酒を控える

脂肪肝はその原因や発症機序によって治療方針が異なりますし、生活で注意すべき視点も柔軟に変化させる必要があります。特にアルコールが原因で脂肪肝に罹患した場合にはアルコールの摂取量を減らすことが肝要です。日々の生活において地道に過度の飲酒を控えることが重要です。

筋肉を鍛える

非アルコール性脂肪性肝疾患のように肥満やメタボリックシンドロームなどが背景として存在している際は、運動して体重を減量する、あるいは筋肉を鍛えるなどの対策が必要となります。

有効性が示された運動メニューとしては、1回45分程度で週3回程度の有酸素運動を数か月間継続することで、肝臓の脂肪化を改善させる効果が期待できると考えられています。

緑茶を飲む

脂肪肝は、血中のLDL(悪玉)コレステロール値が上昇する原因となる疾患です。緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があり、悪玉のLDLコレステロールを肝臓に取り込んで分解や排泄する機能をサポートしてくれます。抗酸化作用を有する緑茶や、ポリフェノール類を多く含む野菜や果物を取り入れることが脂肪肝対策には有効であると考えられます。

漢方を取り入れる

漢方薬は、脂肪肝を直接的に改善する目的で使用するわけでなく、脂肪が溜まりやすい体質を改善するという観点で利用されています。

脂肪成分は肝臓だけでなく、皮下や血管内にも溜まることが知られており、普段から食欲が旺盛で身体に脂肪が沈着しやすい脂肪肝の体質を改善するために、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)大柴胡湯(ダイサイコトウ)などの漢方薬が処方されることがあります。

防風通聖散は、日常的に栄養過多になっている方に、便秘や太鼓腹、蕁麻疹などが認められやすい場合などに処方されます。大柴胡湯は筋肉質で、みぞおち周囲に張りがあって苦しく、便秘症状を認める場合などに処方されます。

まとめ

これまで、脂肪肝とはどのような病気か、脂肪肝になるリスク、脂肪肝を改善するダイエット方法などを中心に解説してきました。

脂肪肝においては、初期段階ではほとんど自覚症状を認めませんが、病状が進行すると倦怠感、腹部膨満感、食欲不振などの有意症状が出現する場合もあります。

脂肪肝の対策において、一度生活習慣を改善した後で元通りの生活リズムに戻ってしまうと脂肪肝が再発してしまうことがあります。日常的に運動療法や食事治療などを楽しむ心意気を持ちながら、無理のない範囲で継続することがポイントです。

脂肪肝を指摘された際には、放置せずに早めに消化器内科などを始めとする専門医療機関を受診して適切な治療に結び付けることが大切です。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。


<執筆・監修>

国家公務員共済組合連合会大手前病院
救急科医長 甲斐沼孟 医師

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センター、大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センター、大阪大学医学部付属病院を経て、令和3年より現職。
消化器外科や心臓血管外科の経験を生かし、現在は救急医学診療を中心とする地域医療に携わり、学会発表や論文執筆などの学術活動にも積極的に取り組む。
日本外科学会専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、大阪府知事認定難病指定医、大阪府医師会指定学校医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本職業・災害医学会認定労災補償指導医ほか。
「さまざまな病気や健康の悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を活かして微力ながら貢献できれば幸いです」

甲斐沼孟

TOTO関西支社健康管理室  室長(産業医) 甲斐沼孟 医師 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センター、大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センター、大阪大学医学部付属病院、国家公務員共済組合連合会大手前病院を経て、令和5年4月より現職。 消化器外科や心臓血管外科領域、地域における救急診療に関する幅広い修練経験を持ち、学会発表や論文執筆など学術活動にも積極的に取り組む。 日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医・指導医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、大阪府知事認定難病指定医、大阪府医師会指定学校医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本職業・災害医学会認定労災補償指導医ほか。 「さまざまな病気や健康課題に関する悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を活かして貢献できれば幸いです」

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