スリムだった私がなぜ?閉経後に激太りして糖尿病寸前に…

体験談

最近やたら喉が渇くし疲れが取れにくい。健康診断で血糖値やコレステロール値が上昇を指摘された……。
こうした症状が気になり始めたら、それは閉経後に起こりがちな「糖尿病」の予兆かも!?

自分ではどうにもならない閉経後の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を漢方の専門家がお答えしていきます。

今回は「閉経後の糖尿病」をテーマに、薬剤師の二瀬偉志先生にお話を伺ってみました。

糖尿病寸前と宣告されるも、何をどうしていいかわかりません!

美智代さん(58歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

若い頃は自他ともに認めるスレンダー体型で、体重増加に悩んだことなんて全くありませんでした。
ところが、更年期を経て月経周期が乱れ始め、閉経を迎えるようになる頃から、ものすごい勢いで体に脂肪がつき始めてしまったんです。
これまで着ていた服もみんな入らなくなり、閉経する頃にはまさに別人のようなおデブ体型に……。そればかりか、いつも喉が渇いているような感じがしてガブガブと甘い飲み物を飲んでしまうせいか、身体中がむくんで痛いほど……。
夫にも「その太り方は異常じゃないか?」と呆れたように言われ、病院で検査をしたところ、血糖値もコレステロール値も高く、糖尿病を発症する寸前だと宣告されてしまいました。
大急ぎで糖尿病食のレシピ本を買ってみましたが、もともと”痩せの大食い”タイプだった私には、あまりに量が少なく思えて……。もちろん、そんなワガママは言っていられないので頑張りますが、ほかに一体何をすればいいのか皆目見当がつきません。
なんとか現状を改善する方法を教えていただけないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
閉経するとホルモンの分泌量が大きく変わるため、これまでと同じように生活をしているだけでも体調に変化が起き、つらい症状が現れることがあります。
それでは今回は、閉経後の糖尿病の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

閉経期に糖尿病リスクが高まるのはホルモンの減少が原因

卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」には、さまざまな病気のリスクから体を守る働きがあります。
脂質代謝を安定させ、血糖値を調整する働きもそのひとつです。
ですが、エストロゲンの分泌量は更年期に入る頃から減り始め、閉経後には急激に減少してしまうため、余分なエネルギーが内臓脂肪に蓄積しやすくなったり、血糖値や血圧の急激な上昇が起こりやすくなってしまうのです。

東洋医学では、糖尿病のことを「消渇(しょうかつ)」といいます。
「消」は多く食べても痩せてくること、「渇」とは口が渇くことを示しており、多飲・多食・多尿といった糖尿病の症状を表しています。

次の章では、こうした閉経後特有の悩ましい症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

糖尿病を予防するためのセルフケア3選

1.適切なカロリー摂取で食事療法を行う

まずは規則正しい食生活を心がけ、体重がオーバーしているようなら適正体重に戻すことを心がけましょう。
糖尿病を予防・改善するためには、食事は日常生活に必要とされている最少のカロリーに制限し、その範囲で必要なビタミン・ミネラルなどの栄養素を摂取できるように工夫することが大事です。
糖尿病食のレシピなどを参考に、高タンパク・低糖質なメニューをいつもの食事に取り入れましょう。
事務や家事など軽作業に従事する人の場合の1日の必要カロリー数は、およそ標準体重(キログラム)×30キロカロリーと言われています。
標準体重は下記の計算式で算出できますので、ご自分の適正カロリーを把握して、メニュー作りに役立ててみてください。

◎標準体重(kg)の出し方
〔身長(センチメートル)-100〕×0.9

※カロリー制限は、あくまでも目安として、体調などを見ながら行いましょう。

2.体調に合わせて運動を継続する

食事療法と合わせて、定期的な運動を取り入れることで効率よくカロリーを消費するようにしましょう。
特に、ジョギングや早歩きのウォーキング、スイミングやサイクリングなどの有酸素運動は中性脂肪を低下させ、善玉コレステロールを上げる効果があります。
数日おきに長時間運動するよりも、30分間など時間を決め、毎日継続的に運動するように心がけることが大事です。

3.カカオポリフェノールを摂る

余分なカロリーを摂取しないよう、間食はできる限り避けるべきですが、どうしても甘いものが食べたくなってしまったら、「カカオポリフェノール」が豊富に含まれるダークチョコレート(カカオ含有量70%以上)やココアなどがオススメです。
カカオポリフェノールには、閉経後の女性の糖代謝を改善したり、血圧の上昇や悪玉コレステロールの増加を抑える働きがあると言われています。
少量摂ることで、罪悪感を感じることなく、おやつの時間を楽しめますね。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

糖尿病を改善するため、血糖降下薬などの服用をするという選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメしたい漢方薬は、大柴胡湯(ダイサイコトウ)です。
閉経後に急激に体重の増加した方の腹部の張りや便秘を解消し、体重の増加や脂肪の蓄積を防ぐ効果があります。
また、口の渇きがひどく、むくみの症状などもある方には、体内の「水(水分)」の滞りを解消し、胃腸機能の低下を招く「水毒(すいどく)」の状態を改善する効果のある五苓散(ゴレイサン)も良いでしょう。

自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

あんしん漢方のサービス紹介はこちらをご確認ください。

日常的な努力を積み重ねて体質改善をはかりましょう

今回は、閉経後の糖尿病に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
糖尿病は生活習慣の改善によって予防・治療ができる病気でもあります。食事療法と運動を継続し、急な血糖値の上昇を防ぎましょう。
また糖尿病など、閉経後に起こりやすいさまざまな病気や症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


二瀬偉志

薬剤師、鍼灸あん摩マッサージ指圧師、化粧品検定1級、居宅介護支援専門員(ケアマネ)。 薬剤師の仕事に従事する傍ら、0才の息子の子育てに奮闘中。

プロフィール

関連記事