私を襲った悲劇…食後の胃痛で「美食」の楽しみが奪われるなんて!

体験談

食事をした後に胸焼けのような胃の痛みを感じる。普段通り食べただけなのに胃がもたれて痛い……。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師がお答えしていきます。

今回は「食後の胃の痛み」をテーマに、神戸海星病院麻酔科の桐田泰江先生にお話を伺ってみました。

食事をするたびに襲う胃痛と胃もたれ…胃に異常がないのになぜ?

美智代さん(58歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

このところ、食後になるとなぜか胃の痛みを感じることが多くなり、食事の時間が楽しめなくなってしまって困っています。
特に激辛料理や揚げ物をたくさん食べたということもなく、ごく普段通りの食事をしているつもりなので、原因もわからず不安で仕方がありません。あんまり不安なので病院で検査も受けましたが、特に大きな胃の病気はないので精神的なものでしょう、とのこと。
たしかに、夫が定年してからは、あまり気も合わない夫婦で会話もなく暮らしているのでストレスがあるといえばあるのかもしれません。
それで一度、ひとりで思う存分リラックスして美味しいものでも食べてみようと思い、前から行ってみたかった和風割烹店にお邪魔したんです。
お料理は目にも鮮やかでとっても素敵だったのですが、それでも、やはりなぜか食べている途中で胃が重苦しくなり、コース半ばでギブアップ!
日頃から運動不足でしたし、腹ごなしに歩いて帰ろうと、早足で駅まで15分ほどの道のりを歩いてみたのですが、胃もたれが解消されるどころか途中でひどく胃が痛み出してしまって。
結局タクシーを捕まえて帰宅する羽目になってしまいました。
コース料理だってなかなか可愛くはないお値段だったので、損した気分でいっぱいです。
私の老後の楽しみなんて食べることくらいしかないのに、こんなことでは先が思いやられます……。今後同じような症状が出た際に、楽になる方法はありますか?

ご質問ありがとうございます。
食後の胃の痛みは、加齢や自律神経の乱れにより、胃の働きが低下してしまったことにより起こることも多いと考えられています。
今回は、食後の胃の痛みの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

胃の働きの低下と自律神経の乱れが食後の胃痛の原因

食後に胃痛が起こるのは食べ過ぎや飲み過ぎ、刺激物の摂取以外には、逆流性胃腸炎や胃炎など、何らかの原因によって胃に炎症が起こっている状態です。
また、胃に異常がないにもかかわらず、胃痛や胃もたれなどの症状を起こす疾患で、機能性ディスペプシアというものもあります。
これは、心理的・身体的ストレスや過労などから自律神経が乱れ、胃の働きが低下することでさまざまな不調を起こすと考えられています。

また東洋医学では、五臓のうちの胃腸の働きをつかさどる「脾(ひ)」の衰えにより胃の消化吸収全般の機能が低下するとされており、この「脾」の機能低下には、自律神経に関わる「肝(かん)」や老化と関連する「腎(じん)」の衰えが関係していると考えられています。

次の章では、このような「食後の胃の痛み」を和らげるための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

食後の胃の痛みを和らげる3つのセルフケア

1.消化や胃液分泌を助ける食材を摂る

消化機能の低下によって食後の胃痛が起こる場合、胃腸の機能を活発にさせて消化の働きを高めるためにも、消化不良を改善する大根やニンジンを積極的に取り入れることが大事です。
大根にはジアスターゼという消化酵素が含まれており、消化を助ける働きがありますが、生の大根は胃の熱を冷まして冷えを招くことがあるため、出来れば煮物などで温めて食べると良いでしょう。
また、胃もたれを起こしすい方は、胃液の分泌をサポートしてくれるパセリ・ショウガ・シソなどの薬味を使ったものをメニューに取り入れることもオススメです。

2.適度なエクササイズを取り入れる

日頃の運動不足によって胃の働きが弱まったり、胃もたれや食欲減退などが起きたりすることがあります。
筋力が弱い女性の中には、それが原因で消化不良や便秘になる方もいるため、日頃から内臓を支える筋肉の衰えを防ぐことが大事です。
適度な運動を取り入れるなら、腹筋背筋を鍛えることのできるスクワットや、適度に汗をかく程度のウォーキングやジョギング、サイクリングなども良いでしょう。
ストレスにならない程度に、楽しんで継続できそうなものを取り入れてみてくださいね。

3.睡眠不足を解消して消化機能を高める

睡眠不足が続くことにより自律神経が乱れると、消化機能が低下して食欲の低下や胃もたれが起こりやすくなります。
夜更かしや寝不足になりがちな人は、生活習慣を見直して睡眠のリズムを整え、質の高い睡眠を得られるように心がけることが大事です。
ストレスや運動不足でなかなか寝付けないという方は、昼間のうちにしっかり太陽光を浴びることで、睡眠物質のメラトニンの分泌が促進されます。
出不精にならずに日中は積極的に外に出て活動することで睡眠不足を解消し、胃の働きを高める努力をしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

食後の胃の痛みを改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、平胃散(ヘイイサン)です。
食後に胃もたれや胸焼け、下痢などの症状のある方の胃腸機能を整えて胃の働きを良くし、消化をサポートする効果があります。
ストレスによる胃の痛みがある方には、「気(生命エネルギー)」の滞りを解消して胃の痛みを改善する六君子湯(リックンシトウ)も良いでしょう。

自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
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生活習慣を見直して胃腸機能の改善をしましょう

今回は、食後の胃の痛みに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
食事をおいしく食べ、しっかり消化して痛みや胃もたれを起こさないようにするためには、消化機能を改善することが大切です。日頃の運動不足や睡眠不足を改善して胃腸の機能を高めるようにしましょう。

また、こうした気になる胃の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


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