卒乳後の乳首のかゆみ…パッドで擦れるたびにムズムズしてもう限界!

体験談

汗ばむ季節にブラジャーを外した瞬間、乳首や乳輪のまわりがむずかゆくなる。月経前になると乳首がかゆくなる…。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「乳首のかゆみ」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。 

乳首がかゆくてつらい…赤く炎症した乳首はどうケアすればいい?

亜由美さん(32歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

去年第二子を出産し、卒乳してから2ヶ月ほどになります。第一子に続いて母乳で育てていたのですが、今回はどうにも乳首が荒れてしまい、かゆくてたまりません。
もともと生理の前なども無性に乳首がかゆくなっていたので、そういう体質なのかもしれませんが、かき壊して細菌でも入ったら、と思うと怖くてかくこともできずにいます。
一番つらいのは、いまだに乳首から母乳がたまに出てしまうため、使い捨てタイプの母乳パッドをしているのですが、肌にパッドが擦れるたびにムズがゆくて…。
パッドの上からゴシゴシとこすり付けてかゆみを抑えようとも試みたのですが、余計に皮膚を刺激してしまったのか、熱を帯びてますますかゆみが悪化するばかり。ブラジャーを外してみると、真っ赤に熱を帯びて毛穴の周りがプツプツと膨らんでしまっていました。
卒乳したとはいえ、まだ小さい子どもなので乳首や胸に触れてくることも多く、あまり強い薬は使いたくないんです。どうにかこのつらいかゆみを改善する方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
卒乳時期はまだ母乳が出てしまうことも多く、パッドが湿って普段以上に乳首の乾燥がひどくなったり、パッドかぶれを起こしてしまったりしがちでつらいですよね。
今回は、乳首のかゆみの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

乳首のかゆみは乾燥やかぶれ、細菌による炎症が原因

乳首や乳輪は、アポクリン汗腺が分布しており、たんぱく質や脂質を含んだ汗や皮脂の分泌も多い場所です。
また、ホルモンバランスの影響により月経前に乳頭部にかゆみを生じたり、ブラジャーや肌着などとの密着により通気性が妨げられることで、細菌が繁殖しやすくなったりするために、さまざまな皮膚トラブルやかゆみが生じることもあります。
かゆみの原因としては、乳首の乾燥をはじめ、肌着の繊維が肌に合わないことによる接触性皮膚炎やマラセチアやカビなどの真菌感染、細菌感染による乳頭炎などが挙げられます。

東洋医学では、かゆみをともなう乳首の炎症の原因をジュクジュクした分泌物によるものは「湿熱(しつねつ)」、カサカサと乾燥する症状は「血熱(けつねつ)」と捉え、余分な熱を冷ましたり血の巡りを良くすることで症状を改善していきます。

次の章では、このような「乳首のかゆみ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

乳首のかゆみを解消する3つのセルフケア

1.かかずに冷やして菌の侵入を防ぐ

月経前や更年期などで女性ホルモンのバランスが乱れることによって乳房や乳首が敏感になり、胸の張りや痛みに加え、かゆくなることがあります。
また、月経周期によって起こるかゆみは乳腺症のひとつで、多くの場合は月経が始まると症状は治ります。
かき壊してしまうことで毛穴から菌が侵入し、増殖して炎症を起こしてしまうこともあるため、かゆみを感じてもかき過ぎないようにしましょう。
どうしてもかゆみが強い場合は、ガーゼで包んだ保冷剤などで乳首や乳輪を冷やしてかゆみを抑えるのもオススメです。

2.しっかり保湿し、天然素材の肌着に変える

空気が乾燥しがちな冬場には皮膚の乾燥が進み、かゆみが起こりやすくなります。
入浴後に、保湿力が高く刺激の少ないベビーローションやベビーオイルなどをコットンでなじませ、乳首や乳輪を保湿することで乾燥によるかゆみを改善することができます。
また、ブラジャーや肌着などの接触によって赤みやかゆみ、湿疹などが起きてしまったときは、下着や肌着の素材を肌に優しい綿や絹の素材に変えてみるのも良いでしょう。
湿疹やかぶれの症状がひどい場合は、病院で抗生剤や外用薬などを処方してもらい、回復を早めるのも悪化を防ぐ一つの方法です。

3.生活習慣を見直しホルモンバランスを整える

乳首や乳輪にかゆみがあると、不快感から普段以上にストレスを感じやすくなり、夜眠れなくなることで、かゆみの症状が悪化してしまうことがあります。
生活習慣の乱れを感じている場合は、ホルモンバランスの悪化を防ぐためにも規則正しい生活とバランスの取れた食事を心がけ、質の良い睡眠を取るようにしましょう。
また、豆乳には女性ホルモンのエストロゲンに似た成分が入っているため、ホルモンバランスを整えてくれる効果があります。
かゆみの症状を抑えるためにも効果的ですので、普段の食生活に取り入れるようにしてみてください。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

乳首のかゆみを改善するために、市販薬や処方薬の使用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、消風散(ショウフウサン)です。
分泌物によるかぶれや、皮膚がジュクジュクしてかゆみの症状のある方の体内にこもった「熱」を冷まし、膿や毒素を排出して炎症を鎮める効果があります。
また、月経周期に伴って乳首や乳輪にかゆみが起きる方には、「熱」を冷まし「血(血液)」の巡りを良くして、女性ホルモンの変動にともなって起こる症状を改善し、炎症を鎮める効果のある黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)も良いでしょう。

清潔な肌着を身につけ、患部の潤いを保ちましょう

今回は、乳首のかゆみに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。症状の改善のためには、肌に優しい素材の肌着を選び摩擦を避けて、乳首や乳輪を保湿することが大切です。
また、ただれなどの症状がひどい場合はパジェット病(乳がんの一種)などの可能性もあるため、我慢せず病院で診察してもらうようにしましょう。

また、こうした気になるかゆみの症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬剤師に相談してみてくださいね。

中田早苗

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 中田 早苗 薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。

プロフィール

関連記事