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くしゃみしたら布団が真っ赤に!風邪をひくと鼻血が出るのはなぜ?

くしゃみをしたら鼻血 アイキャッチ
体験談

風邪をひくとなぜか鼻血が出やすくなる、勢いよく鼻をかんだらティッシュが血だらけになってしまった…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、こうした「風邪をひいたときの鼻血」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

このような自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「風邪をひいたときの鼻血」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

風邪の不調に加えて鼻血がポタリ…不用意にくしゃみすらできません

友里さん(39歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

このところ寒暖の変化が厳しいせいか、風邪をひくことが増えてしまったのですが、私の場合、鼻の粘膜が弱いらしく、いつも鼻づまりや鼻水の症状がつらいんです。
高熱が出るわけではないので寝込んでしまうことはないのですが、気になるのが、なぜか風邪をひくたびに頻繁に出る鼻血の症状。鼻の中に温かい液体がタラーっとして「鼻水垂れそう!」と思って慌ててティッシュで拭うと真っ赤な血がついていたり、鼻をかむたびに血混じりの鼻水が出たりして、気の休まる暇がありません。
鼻づまりがひどいせいで、どうしても鼻に何か詰まっている気がして鼻に指を入れてしまったり、常に鼻をスピスピと鳴らしているせいかもしれないと思い、気をつけてはいるのですが…。
先日も、猛烈にくしゃみがしたくて「ハックション!」とした瞬間に布団の上に鼻血がポタポタと垂れて、呆然としてしまいました。血液汚れは洗うのも一苦労ですし、風邪でつらいのに鼻血まで出てくるなんて! 
横になることもできず、一向に体が休まりません。どうしたらこの“鼻血グセ”を改善することができるのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
風邪をひくと、鼻や喉の粘膜が炎症を起こして充血し、些細な刺激で鼻血が出やすい状態になってしまいます。
今回は、風邪をひいたときの鼻血の原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

風邪による鼻血の原因は鼻腔の炎症による粘膜の腫れ

鼻血とは鼻腔からの出血を指し、鼻血の多くは鼻の穴の入り口、小鼻の内側にあるキーゼルバッハ部位という場所から出血します。
この場所には網の目のような毛細血管が集中しており、粘膜も薄いため、ちょっとした刺激や傷、空気の乾燥などによっても出血しやすいのです。
特に、風邪をひいたときに鼻血が出やすくなるのは、鼻の炎症から粘膜が充血して出血を起こしやすい状態になっていることが挙げられます。
それに加え、鼻づまりが気になってむやみに鼻を触ったり、強く鼻をかむことで粘膜を傷つけ、出血が起きてしまいます。

東洋医学では、喉が赤く腫れて鼻づまりをともなう風邪のときに出る鼻血を「風熱(ふうねつ)」による鼻血、鼻水や寒気などが強い風邪のときに出る鼻血を「風寒(ふうかん)」による鼻血と考え、それぞれの症状に合わせて漢方薬の処方を行います。

次の章ではこのような「風邪をひいたときの鼻血」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

風邪をひいたときの鼻血を改善するための3つの対処法

1.部屋を加湿して風邪症状を早めに改善する

加湿器

風邪を引いたときは、発熱により身体が温かくなり血管が拡がってしまうことや、鼻や喉の粘膜に炎症が起き、粘膜が腫れて充血してしまうことなどから鼻血が出やすくなります。
鼻血の症状を止めるには、まずは風邪をしっかり改善させることが大切です。
鼻づまりやくしゃみ、粘膜の炎症を悪化させないためにも、空気の乾燥を避け、加湿器などで部屋の湿度を調整したり、室温を25℃程度に保って安静に過ごすようにしましょう。

2.鼻をかんだりくしゃみをするときに粘膜を傷つけないよう気をつける

くしゃみが出そうな女性

鼻づまりが気になって鼻を必要以上に刺激してしまったり、ずるずると鼻水が出てくるとつい勢いよく鼻をかんだりしてしまいがちですが、こうした行動も充血した粘膜からの出血に直結してしまいます。
鼻づまりがあってもむやみに鼻を触らないようにし、鼻水は小刻みに鼻で息を吐きつつ粘膜を刺激しないようにゆっくりとかみましょう。
また、口を閉じたままのくしゃみは鼻の中に圧力がかかるため、せっかく鼻血が止まっていても、再出血のきっかけになってしまうことがあります。
くしゃみや鼻づまりは部屋を加湿するなどの対策で改善しつつ、どうしてもくしゃみが出る場合は口を閉じないように意識してみてください。

3.安静時の体勢を工夫する

発熱などがある場合は横になって安静にし、しっかりと睡眠をとることが大切ですが、鼻血の症状がある場合は、仰向けで寝る体勢は避けるようにしましょう。
仰向けの体勢は鼻づまりを悪化させるばかりか、鼻血が出た場合には喉に逆流して息が苦しくなったり吐き気を催してしまうこともあります。
鼻水をスムーズに流し、鼻づまり症状をラクにするためにも、横向きで寝るか、クッションを使って少し体勢を起こすような形で寝るようにすると良いでしょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

風邪をひいたときの鼻血を改善するために、セルフケアやレーザー治療などに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)です。鼻粘膜の腫れを抑えて鼻詰まりや鼻腔のむくみを抑えます。体を温め水分代謝を促して症状を改善する効果があります。

また、粘度の高い鼻水や痰の症状があり、粘膜の充血などから鼻血の出やすい方には、体内にこもった余分な熱を冷まし炎症を抑え、症状を和らげる効果のある荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)も良いでしょう。
一方、鼻血が出やすくイライラしやすい方は、熱や炎症を抑えていく黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)がおすすめです。

風邪の症状を改善して粘膜の炎症を和らげましょう

風邪を引いて寝込む女性

今回は、風邪をひいたときの鼻血に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、まずは風邪の症状からくる鼻腔の粘膜の腫れや充血を治し、鼻血の出やすい状態を改善することが大切です。
また、こうした気になる鼻血の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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